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労働組合が過労死・過労自殺問題に取り組む意義 弁護士 岩城 穣(民主法律272号・2008年2月)

弁護士 岩城 穣

1 はじめに──過労死・過労自殺問題の現状
(1) 過労死・過労自殺の多発‥‥職種・地位・年齢・性別を超えた広がり
(2) 遺族のおかれる悲惨な実態‥‥経済的困難・精神的困難(自責・喪失感)・労災認定の壁

2 過労死事件において労働組合の支援が果たす重要な役割
(1) 遺族への精神的・経済的支援
(2) 主張・立証活動への貢献(職場の状況の紹介、資料収集、証人探しなど)
(3) 裁判所や厚生労働省を動かす世論づくり(街頭宣伝、署名、国会要請など)

3 当該組合にとっての意義
(1) 単組・産別組合の場合‥‥労働条件の改善要求との結合(職場の安全衛生、労働時間管理など)、組合員の団結
(2) 地域労組の場合‥‥地域全体の労働条件の向上、未組織労働者の組織化
(3) ナショナルセンター・ローカルセンターを含む全てのレベルとして‥‥労働者・遺族の「主護神」、労働者全体・国民全体の人権を擁護する存在としての「権威」の獲得

4 支援活動のポイント
(1) 組合としての正式な支援決定の重要性
(2) 支援の会の結成と運営
ア 当事者・遺族の気分・感情の尊重
イ 友人や同僚など幅広い個人の組織化と、労働組合・民主団体の力の結集の両方を追求できる体制、規約、日常的運営
ウ 弁護団会議への出席と連携
エ 地道な活動(宣伝・署名・要請活動、法廷傍聴など)、創意あふれるユニークな活動(リーフレット、ホームページ、寸劇など)、参加して楽しい活動
オ 財政の問題
(3) 労働組合への日常的な報告・還元
 支援を通じて、労働組合と職場の労働条件をどう変えることができたか

5 すべての労働組合の皆さんへ
(1) 職場、職域、地域での過労死・過労自殺事案の掘り起こしを
 過労死・過労自殺を単なる「枕ことば」にしない具体的な取り組みを
(2) 過労死事件の支援は「やりがい」のある取り組み
 過労死は人ごとではない
 自らの生き方も問い直すヒューマンな取り組み
(3) 「労働組合だからこそできる」──労働者・国民の中で存在感と権威を高める

(民主法律272号・2008年2月)

2008/02/01