関連書籍の紹介

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Q&A 過労死・過労自殺110番 ~事例と労災認定への取組み〔全訂増補版〕

2003年3月1日発行、大阪過労死問題連絡会編、民事法研究会発行
価格 1700円(税別)

過労死・過労自殺についての基礎知識、過労自殺の認定基準、過労死と認められる具体的ケース、企業責任の追及、団体定期保険問題について、大阪過労死問題連絡会で業務上認定や勝訴を勝ち取った具体的事例を踏まえて、66問のQ&A形式で解説した画期的な解説書。厚生労働省の「新認定基準」制定及びその後の最新情報を追加して大幅改訂しました。
資料として、過労死の新認定基準、過労自殺の認定基準、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」も収録しています。

ご購入は一般書店か、または民事法研究会まで

民事法研究会

TEL:03-5351- 1571(代) FAX:03-5351-1572
ホームページ:http://www.minjiho.com/

道標── 田尻俊一郎過労死問題意見書集

1998年11月21日発行 田尻俊一郎著
定価 4000円

1970年代から医師として過労死問題に一貫して取り組み、81年の大阪過労死問題連絡会の結成以来、一貫して会長をつとめて来られた田尻俊一郎先生の古希を記念して、同医師がこれまでに作成した約70の医師意見書から、年齢や職種、疾患名などのバランスを考えて29を厳選して収録した意見書集です。

過労死の労災認定や企業責任追及に取り組む弁護士、医師、労働組合、遺族の方々にとって有益な闘いの武器、励ましの書といえましょう。

限定600部の発行で、書店では購入できません。
購入ご希望の方は大阪過労死問題連絡会まで、電話又はFAXでお申し込み下さい。

大阪過労死問題連絡会

TEL:06-6636-9361 FAX:06-6636-9364

働きすぎの時代

2005年8月19日 第1刷発行、森岡孝二著
価格 790円(税別)

【書評】

弁護士 松丸 正

 「働きすぎ」をめぐって、今、激しいせめぎあいが続いている。一方では働きすぎによる過労死、自殺の労災認定や損害賠償による救済が広がり、労基署の賃金不払残業(サービス残業)の摘発が進んでいる。

しかし、その一方では、100時間以上の残業と、本人の申し出がない限り産業医の面接指導をしなくてもよいとするなどの労安法改悪と、年間1800時間の国際公約を取り下げた時短法改悪が行なわれようとしている。

著者は大阪過労死問題連絡会や労基オンブズマンにも参加されている。働きすぎの現場を熟知した視点で、このせめぎあいのなかで労働者が働きすぎにブレーキをどうかけたらよいかの処方箋も含めて問題を投げかけている。

働きすぎの背景を「グローバル資本主義」「情報資本主義」「消費資本主義」「フリーター資本主義」と位置づけている。働きすぎの問題はともすれば「日本」の働きすぎと矮小化されがちであった。

「グローバル」「情報」「消費」は全世界的な現象であり、欧米(とりわけ米、英)において、働きすぎと過労死は、日本に劣らず社会問題となっていることを指摘している。

「フリーター」では、正規社員と非正規雇用者との労働時間の2極分化を指摘している。厚労省の統計上は一見時短が進んでいるかのようにみえるのに、現場では働きすぎの労働者が増加しているカラクリを明らかにしている。

従前の「日本」の働きすぎ論に対する、「目からウロコ」の指摘である。

働きすぎにブレーキをかけるのはどうしたらよいか、この問へも著者は重視し、労働者、労働組合、企業、法制度にわけて、それぞれなにをなすべきかについて述べている。

労働組合について、時短、年休取得の取り組みに加えて、30代正社員の働きすぎの解消を課題としてあげている。30代の過労死、とりわけ過労自殺の労災申請が増えていることは実感する。これから生まれてくる子を見ずして亡くなった30代の過労死は悲惨である。

過労死の労災申請の支援も労組の課題としてあげている。加えて在職死亡の一斉調査を行なうことにより、過労死を掘り起こす取り組みを私としては望みたい。

更に、36協定の締結についての指摘は重要である。特別協定で過労死ライン(月80時間の時間外労働)を超える時間外労働を認める36協定が多数あることを著者は述べている。このような36協定を容認することは、労組が過労死の「共犯者」となってしまうことになりかねない。

この書を貫くものは、人間らしい働き方を求めようとしながら、働きすぎ社会のグローバルな波にのみこまれてしまう労働者への著者の思いである。

その波に向かって大学を巣立っていく学生たちへの思いが執筆の動機だったとあとがきで述べている。

私事であるが、弁護士になった30数年前、「人間性の経済学」のテーマの社会人講座に参加したとき、著者が講師だった。

経済学者として「人間性」を考察するなかで出会った1つのテーマが労働時間であり、過労死であり、この著書はその働きすぎの研究の集大成であろう。

自らの働きすぎを省みるためにも必読の書である。

(民主法律時報401号・2005年10月)

働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史

2010年2月19日発行、大熊沢誠著
価格 3360円(税別)

内容(「BOOK」データベースより)

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないか―。ふつうの労働者が「しがらみ」に絡めとられながら限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造が生み出した膨大な数の過労死・過労自殺の事例を凝視し、日本の労働史を描き出す。現状を変えていくための、鎮魂の物語。