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「働き方を考える大阪ネット」が第2回つどい開催 服部信一郎(働き方ネット大阪副会長、大阪労連副議長)(民主法律時報414号・2006年12月)

服部信一郎 (働き方ネット大阪副会長、大阪労連副議長)

 「1日8時間の労働が当たりまえの社会へ」をスローガンに、9月28日結成された「ストップ・ザ・エグゼンプション─働き方を考える大阪ネット(略称:働き方ネット大阪)」は、11月28日、2回目のつどい(例会)をエルおおさか南館で開催しました。労働者、市民、弁護士、研究者ら70人が参加し、あるべき労働時間制度を討論を交わしながら深めることができました。

 大阪ネットの活動は労働者と市民、研究者が共同し合いながら、当面の「自由度の高い働き方にふさわしい制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)」に反対世論を高め、本来あるべき労働と家庭(社会)生活の両立をめざして、出発しました。この目標に、ふさわしい「つどい」を成功させることができ、早くも次回の取り組みに期待が寄せられています。

 会長でもある森岡孝二(関西大学教授)さんは、この日が、ILO1号条約が採択された日から87年目にあたることから、「8時間労働制の歴史的意義を考える」と題して、講演を行いました。この中で、シェークスピアが「人間とはなんぞや、ただ睡眠と食事だけに時間を費やす人間は獣にすぎない」と示唆したことを紹介、またアメリカの「8時間ソング」の8時間には「家庭責任」が欠けていたが、今後は男女平等の労働時間制度の要求が重要と、問題提起しました。

 前回に続き、パネルディスカッションが盛り上がりました。福井県から駆けつけた過労死家族の藤井尚子さんは、夫を過労死で失い、労災認定をかちとるまでの思いを報告。「生きるために働くのに、その労働が命を奪った。何かが間違っている。企業活動の在り方が問われるべきです」と、声を詰まらせながら訴え、会場から大きな励ましの拍手が沸き起こりました。コンビニ店長の渡部敏和さんは、何ヶ月も休みが無く、月400時間、36時間連続勤務したこともあったと報告。そして、「店で倒れ、救急車で病院に運ばれ治療うけた翌朝、代わってもらうスタッフがいなかったので出勤して働いた。現在は、インターネットで大阪労連の地域労組を知り、労働組合に入って、労働条件を改善させつつある。やっと人間性を取り戻すことができた。死ぬ一歩手前ですばらしい仲間に出会えた、一人で悩まず、労働組合に参加して欲しい」と、発言。大阪大学のスコット・ノース助教授はアメリカのエグゼンプションの実態を紹介しながら、「アメリカ人は死ぬ前に会社を辞める人の方が多い、違法なサービス残業が横行する日本で導入されると事態はさらに悪化する」と発言。JMIU田辺鉄工所支部委員長の木野繁夫さんは、「少数組合だけど、組合員の多い枚方工場では毎日5時に定時退社している、みんなは平日に家族の食事をつくったり、スポーツジムにかよったり、家族の介護をしています」「残業代に頼らない賃金をめざし、本給を引き上げるたたかいを春闘で重視しています」と、本来の労働組合のちからを発揮している様子が紹介されました。

 会場からも、予定以上の発言者が相次ぎました。アピール文では、「働き方を問い掛け合い、いっしょに声を上げていきましょう」と、呼びかけられました。また、エグゼンプションを審議している労働政策審議会の動きが報告され、年内に予定されている「審議会報告」づくりを阻止する重要さと取り組みが訴えられました。

 大阪労連は、労働時間規制の撤廃や解雇の金銭解決制度など、労働契約法制に反対し、審議会委員要請、厚生労働省前抗議座り込み、宣伝、署名活動を集中して取り組んでいるところです。大阪労連は大阪ネットとちからを合わせ、8時間労働制が当たりまえとなる社会建設をめざす決意です。

(民主法律時報414号・2006年12月)

2006/12/01