過労死問題について知る

HOME > 過労死問題について知る > 勝利事例・取り組み等の紹介 > 労働基準オンブズマンがサービス残業110番を実施 ぽぽろ法律事務所 社会保険労務...

労働基準オンブズマンがサービス残業110番を実施 ぽぽろ法律事務所 社会保険労務士 花岡日出美(民主法律時報377号・2003年10月)

ぽぽろ法律事務所 社会保険労務士 花岡日出美

   過労死の温床となっているサービス残業をなくしていこうと、一〇月一〇日、労働基準オンブズマンがサービス残業一一〇番を実施した。
  今回は、弁護士と、簡裁代理権を取得する司法書士と、労務管理の分野を業務の一環とする社会保険労務士が、共に労働相談を行っていこうというものであった。今後予想される相談窓口の拡充のために、敷居の高いと言われる弁護士だけでなく、市民が気軽に相談できる他の士業同士の提携の意味もあった。
  あらかじめ、弁護士から、労働基準法の講義をはじめ、残業代請求訴訟の訴状の書き方まで盛りだくさんの学習会をしてもらった。その中で、労働時間の管理は使用者の責務であり、時間外労働が自主申告制の場合にも使用者が講じるべき措置を具体的に定めていること等、労働者に向けた数々のすばらしい通達が厚生労働省から出ていることに正直驚いた。
  一一〇番当日、民法協の事務所に七台の電話が設置された。司法書士一三名と社会保険労務士五名、そして弁護士三名の合計二一名が相談員として参加した。弁護士からは、「今回は、僕たちは電話に出ず、司法書士と社労士の方でお願いしたい」と言われ、私たちが電話に出て相談を聞いた。ちょっと頼りない私たちに、三人の弁護士がデンと座っていてくれるのはとても心強かった。
  前日のテレビ報道などの効果もあって、相談は四八件におよんだ。 相談内容の一部を紹介します。
 ・ 労基署から是正勧告があり、退職者も含めて過去二年の賃金が遡及して支給されたが、支給基準が明確でなく、労働者間で不公平があるという(元銀行員)
 ・ 労基署から割増賃金の支払の指導を受けた会社が、「割増賃金の支給義 務を遵守するため、毎月の基本給を調整します」と一方的に宣言し、時間外手当相当分について毎月の基本給を減額するという、とんでもない措置についての相談(つまり、支給総額は残業をするか否かにかかわらず毎月同額)

  夫や子の働き方に不安を持つ家族や知人からの相談など 寄せられた相談の中から、労基署への通告や提訴等の取り組みが必要と思われる事案については、別途相談会を行った。今後は、個々に具体的な対応をしながら、年内には不払残業賃金の支払を求めて一斉提訴等を考えている。
  それにしても、企業のコンプライアンスなんてどこ吹く風。しかし最近は労基署も頑張っているので、もっともっと違反通告をして、もっともっと裁判をして、日本の企業を緊張させたいと思います。
(民主法律時報377号・2003年10月)

2003/10/01