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「ノーモア・カローシいま大阪から 死ぬほど大切な仕事って何ですか 1・21過労死問題を考える集い」報告 弁護士 角野とく子(民主法律時報321号・1999年2月)

弁護士 角野とく子

1 去る1月21日、「過労死問題を考える集い」が森ノ宮のアピオ大阪(小ホール)で開かれました。
 私は、過労死問題連絡会からこのつどいの実行委員の一員として今回初めて参加しました。4年ぶりに開かれたこの集会は、およそ110人もの人たちの参加で成功裡に終わりました。

2 長引く不況とリストラ合理化のなかで、働く人々の命と健康が日々脅かされており、過労死は年間1万人を超えるといわれています。なかでも最近では仕事上の肉体的・精神的負担から反応性うつ病等の精神障害に握り、その精神障害の一症状として自殺に至るいわゆる「過労自殺」が増えています。今回の集いは、このような現状を踏まえて、過労死の実態および被災家族の置かれている状況について認識を深めるとともに、過労死が起こる社会のメカニズムや、過労死をなくしていくための方途を考えていくために開かれたものです。

3 「ノーモア・カローシいま大阪から~死ぬほど大切な仕事って何ですか」という副題のついたこの集会は、サンデープロジェクトで昨年放映された特集「自殺過労死」のビデオ上映で始まりました。
 このビデオでは、自殺過労死のそれぞれのケースが遺族の方々からのインタビューを交えて紹介されていました。また、国が企業から徴収した労災保険金は潤沢であるにもかかわらず、労災として認定されるのは申請件数のわずか1割強にすぎず、企業から集めたお金は結局労働省の役人の天下り先機関へ流れていることなども告発されていました。被災者とその家族の福祉を目的として集められたお金が被災家族とは縁もゆかりもないところに無駄遣いされていることを私はこのビデオで初めて知り、ものすごく腹が立ちました。

4 オープニングのあとは、関西勤労者教育協会の中田進先生より、「いのちと幸せを奪うものとのたたかい」という題でご講演があり、約1時間、過労死を生む社会的背景等について、わかりやすく解説していただきました。
 また、講演に続いて過労死家族の会のみなさんからの切実な訴えがありました。家族の会の方たちの中でも、労災認定がおりた方、認定がおりなかったために審査、再審査請求中の方、現在労災申請の準備段階にある方、それぞれ置かれている状況は様々ですが、国や企業の責任を認めさせるために、よりいっそうの支援とねばり強い取り組みが必要であることを痛感しました。
 今後も家族の会を中心に据えたこのような集いをもち、過労死の予防と救済に向けた活動を広めていきたいと思います。
(民主法律時報321号・1999年2月)

1999/02/01