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94権利討論集会第3分科会報告 弁護士 岩城 穣(民主法律時報273号・1994年5月)

94春闘と権利討論集会
東京・名古屋からも多くの自費参加者

 
 2月19日~20日、滋賀県大津市のあやはレークサイドホテルで、恒例の「94春闘と権利討論集会」が行われ、277名が参加した。
 今年は記念講演に「企業社会と能力主義」と題して、甲南大学の熊沢誠教授にお話しいただいたが参加者の評判は良く、アンケート(76枚回収〉の結果では「ためになった」(40名)「面白かった」(14名)「わかりやすかった」(22名)「視点が新鮮」(23名)「むずかしかった」 (18名)となっている。
 この権利討論集会は全国的にも評判が高く、最近では神奈川労働弁護団が毎年新人弁護士を派遣してくるほか、近畿圏以外からも「よそでは学べないから」と申し込みが増えている。今年も東京、名古屋から20名近い労働者が、交通費も含めて自腹を切って参加。寄せられる期待はいよいよ大きい。

▼第3分科会
「いのちと健康、そして快適な職場をつくるために」

1、1日目は、①平岡事件における職場の安全衛生活動の酷い実態と裁判での使用者側の自己保健義務の主張と問題点についての報告、②化学一般ダイトーケミックス支部が勝ち取っている高い水準の予防・補償協約についての報告を受けて、各参加者の職場の現状について交流しあった。
 その中で、組合として専門部を確立すること、労働安全衛生委員会の設置と活性化、疲れた時には安心して休める職場体制づくり、休んでも不利益扱いさせない闘いが重要であり、また一方で、例えば自分の健康診断結果や健康についての情報をファイルした健康手帳の推進といった労働者の自己防衛も大切だ、など参加者が共感する発言が相次いだ。

2、2日目は、
(1) 経済企画庁経済研究所主任研究官の研究論文「働きすぎと健康障害」について紹介された。この論文は、担当者の個人的見解とはいえ国の機関として初めての意見書であること、また内容的にも過労死110番などから見た「過労死」の実態、現在の労働時間統計・サービス残業の現状、現在の認定基準など労災補償の制度と課題、具体的な改善策などについて、我々の運動の成果も取り入れた深い洞察がなされている点で、注目に値するものである。
(2) 次に、現在闘われている事件の報告と交流がなされた。認定件数の減少、労働省の巻き返しのもとで、労災認定闘争における安全センターでの活動家の養成、職場での一斉調査などの活動の必要性、労災申請をした家族の負担の大きさと、家族と運動の接点の作り方などが討論された。(参加者34名)
       (弁護士 岩城 穣)
(民主法律時報273号・1994年5月)

1994/05/01