過労死110番に29件の相談 弁護士 脇山 拓(民主法律時報267号・1993年8月)
大阪過労死問題連絡会事務局
弁護士 脇 山 拓
今年も6月19日に全国一斉過労死110番が行われました。88年に第1回が行われてから早いもので、6回目となりました。例年通り大阪の相談は大阪過労死問題問題連絡会が担当し、民法協に臨時電話を2本引いて、弁護士6名、医療従事者1名で相談にあたりました。
全国では181件の相談が寄せられ、その内、労災補償相談が78件、過労死予防・働き過ぎ相談が79件でした。
大阪には、29件の相談が寄せられました。労災補償相談が13件(内、死亡事案7件)、過労死死予防・働き過ぎ相談が8件、その他が8件(内容は、腰痛などの労災相談や配転などの労働相談)でした。
継続的な相談を希望する方のために、希望者には担当者が面接相談を行い、現在1件が労災申請を準備中、既に本人が申請していた1件も代理人として弁護士をつける予定です。
今年は事前の新聞報道、テレビでの取材があったためか、昨年の相談件数10件から3倍増の相談となりました。
労災補償相談、過労死予防相談とも、現業職種から管理職まで、職種の偏りなく深刻な相談が寄せられています。
中でもホワイトカラーの深刻な相談が増えています。かつて同期入社の友人が過労死した同じポストに付いていた息子が急性心不全で死亡したという相談や、自らの働き過ぎの状況を現にサービス残業をしている自分のデスクから電話して報告し、倒れたときのためには何をしておけばよいかと尋ねた管理職の人など、現在の日本の深刻な労働現場の実態を伺わせるものでした。
不況で長時間労働は解消され、過労死は減っているのではないかという声もありますが、過労死予防相談に寄せられた事例を見ると、不況を口実にした人減らしによって在職者のノルマは増加し、以前よりもかえって過酷な労働が強いられているという面があるようです。
過労死110番はまだまだ続けていく必要があるようです。
(民主法律時報267号・1993年8月)
1993/08/01