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過労死劇「突然の明日」をぜひ観て下さい! 弁護士 岩城 穣(民主法律時報257号・1992年8月)

弁護士 岩城 穣

 8月22日・23日の両日、富田林市立公会堂ホールで、過労死問題を初めて正面から取り上げた劇「突然の明日.の公演が行われることになった。

 この劇は、昭和63年2月に夫を過労で亡くし、その年初めて行われた過労死110番に相談し、平成元年5月に画期的な業務上の認定を受け、現在企業責任追及の裁判を闘っている大阪の平岡事件を素材にした劇で、この劇を作るために独立した名古屋の自立劇団「希求座」が1年近くかかって制作したものである。

 今年3月に名古屋で上演されたが、6ステージすべてが満員札止め、急きょ1ステージを追加したほどの大盛況で、劇を観に行った関西大学の森岡孝二先生、勤労協の中田先生、平岡さん母子や私などが、劇団の方に大阪での公演をお願いし、ついに実現することになったものである。

 ストーリーは、突然夫を過労で亡くした妻が、悲しみのなかから労災申請と裁判に立ち上がっていく過程を描いたもので、職場・家庭・恋愛・親子など様々な人間関係を生きる登場人物一人ひとりを大変ていねいに描きながら、死ぬまで労働者を働かせ、管理職を使って労災申請まで妨害する現在の企業社会を鋭く出口発するものとなっている。

 私の個人的な感想を言えば、労災申請を妨害するよう指示されたが、結局、失敗して飛ばされていく工場長役と、被災者の後任の班長となったために労災申請に協力すべきかどうか逡巡する父親を励ます高校生役が妙役だと思う。

 6月1日に「観る会」が結成され、その後6月24日、7月15日とこれまで3回の実行委員会が開かれ、先日富田林市教育委員会の後援も得られて、急速に輪が広がってきている。

 文化の力は大きい。過労死問題を何となく人ごとのように感じる人々が多く、賃上げは取り組めても時短や健康問題、労災認定闘争にはなかなか取り組めない組合も多いなかで、この劇が成功すれば過労死の防止と遺族の救済の運動が一気に進むものと思う。会場がやや遠いことが難点であるが、民法協の会員とその構成員の皆さんのご鑑賞を、心から呼びかけるものである。

 チケットは大人2000円(当日2200円)、学生・生徒1500円(当日1700円)。申し込み・問い合わせは天王寺法律事務所(772-7521)まで。なおチケットぴあ、関西プレイガイド協会、もちろん民法協でも取り扱っている。

(民主法律時報257号・1992年8月)

1992/08/01