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ノーモア・カローシの火を運び続けて10年-- 大阪過労死を考える家族の会 『結成10周年・過労死を考える』つどいを終えて 弁護士 大橋恭子(民主法律時報343号・2000年12月)

弁護士 大 橋 恭 子

 過労死、過労自殺で家族を失った遺族とその遺族を支える支援者のグループである大阪過労死を考える家族の会(略称・「家族の会」)の結成一〇周年を記念して、「過労死問題を考えるつどい」が、一二月九日開かれた。
 およそ一一〇名もの方が参加され、中には、新聞報道などで初めて家族の会を知った遺族の方の参加もあった。
 まず、劇団民芸の荒牧瑞枝氏の過労自殺をテーマとした一人芝居「星逢ひ」が上演された。会場のあちらこちらですすり泣きが聞こえ、後で聞いたところ、荒牧氏自身、「演じさせられた」と表現されたように、会場と舞台とが一体となって、会場全体が熱気に包まれた。
 その次に、長年にわたり過労死問題に携わってこられた過労死問題連絡会の会長である田尻俊一郎医師より、「家族の方には、心から敬意を表したい」と、これまで大変な思いをしながらも一〇年を歩んで来た家族の会に向けて激励の言葉をいただいた。途中、トラック運転手の職業病の事案で、なかなか労災と認めない労基署の担当者を、実際に助手席の横に乗せてトラックを走らせたところ、途端に業務上だと認定されたといったユーモアたっぷりの暖かいお話もあったりで、多くの家族が元気づけられたことと思う。
 田尻医師の講演に引き続いて、過労死問題連絡会事務局長の岩城穣弁護士のの司会で、この一〇年を振り返る家族によるリレートークが行われた。
 家族の方の一言一言が胸に来るものであったが、中でも、二三歳の娘さんを過労死で亡くされた土川慶子氏の、「今でも涙の枯れる日はない、ただ、このところ泣かずにいられるのは、同じ思いをした家族に支えられているからだ」という言葉に、あらためて、家族の会の存在の大きさを実感した。
 そして、「ノーモア・カローシ」に向けて、新たな大きな一歩が刻まれたことを痛感した。

(民主法律時報(民法協ニュース)No.343より転載) 

2000/12/01