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過労自殺の判断指針(1)──概要と基本的考え方

 判断指針の概要、業務上外の判断の基本的考え方はどのようなものですか。

◆基本的な考え方

 精神障害の発病の有無、発病時期および疾患名を明らかにしたうえで、①業務による心理的負荷、②業務以外の心理的負荷、③個体側要因(精神障害の既往歴等)について評価し、これらと発病した精神障害との関連性について総合的に判断するとしています。
 業務によるストレス並びに疾病の発現につき専門検討会報告書は、米国国立労働安全衛生研究所が作成した次頁の図6の職業ストレスモデルをあげています。

◆判断要件

 判断要件は次の三点です。
 ① 対象疾病に該当する精神障害を発病していること
 ② 発病前おおむね六カ月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること
 ③ 業務以外の心理的負荷および個体側要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと

◆業務による心理的負荷の評価

 業務による心理的負荷の評価については、職場における心理的負荷評価表(別表一)に基づき、発病前おおむね六カ月の間に精神障害を発病させるおそれがある程度の出来事による心理的負荷があるかどうかを判断します。

◆業務以外の心理的負荷並びに個体側要因の評価

 業務以外の心理的負荷については、職場以外の心理的負荷評価表(別表二)でその出来事による心理的負荷が精神障害を発病させるおそれのある程度のものと認められるか否かを判断します。また個体側の心理面の反応性、脆弱性を評価するため、精神障害の既往歴等について評価し、それが精神障害を発病させるおそれがある程度のものと認められるか否か検討します。

◆業務上・業務外の判断

 次の場合には業務上と判断されます。
 ① 業務による心理的負荷以外には特段の心理的負荷、個体側要因が認められない場合で、業務による総合的評価が別表一の「強」と認められるとき
 ② 業務以外の心理的負荷、個体側要因が認められるときは、別表一の総合評価が「強」と認められる場合であっても、業務以外の心理的負荷、個体側要因について具体的に検討し、発病した精神障害との関連性について総合的に判断し、次の場合は業務上と判断します。
  a 強度「Ⅲ」に該当する業務以外の心理的負荷が認められるが、極端に大きい等の状況にないとき
  b 個体側要因に顕著な問題がないとき

◆労働省(当時)の作成したフローチャート

 次頁に掲載した図7の労働省(当時)作成のフローチャートが以上の点をまとめていますので、参考にしてください。

2011/10/01