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労災保険も「民間開放」 規制改革会議が最終答申 【しんぶん赤旗】

 政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は二十二日、「規制改革」の第三次答申(最終答申)をまとめ小泉首相に提出しました。新たに労災保険・雇用保険事業と、道路、河川など公共施設、サービスの「民間開放の促進」などを要求。財界・大企業向けにもうけ口の拡大策を盛り込みました。

 同会議は、委員十五人中十人が、宮内議長をはじめ財界・経済人で占めています。答申は、医療・福祉・教育・農業などを「官製市場」として、この「改革」を改めて要求。病院、特別養護老人ホーム、学校への株式会社参入など、追加分五項目を合わせ十七項目の重点検討事項の具体化を盛り込みました。

 焦点になっていた医薬品のコンビニ販売については、厚生労働省が決めた約三百五十項目の医薬品の販売を二〇〇四年の早期に実施することを要求。さらに拡大することを求めています。

 また、新たに労災保険の「民間開放の促進」を盛り込みました。現在、国が強制徴収の権限をもっている労災保険を、営利優先の民間保険会社にゆだねることは、民間会社のあらたなもうけ口を拡大する一方で、労働者への補償が不安定化しかねない問題があります。このため、改革会議の一部委員も反対しました。

 同改革会議の任期は来年三月末まで。答申では、「一層の規制改革の推進を図る後継組織」に業務を移すとしています。

「規制改革」答申 問題点を見る 労災保険が営利優先に 医薬品販売 副作用の危険野放し

(抜粋)
総合規制改革会議が二十二日、首相に提出した最終答申のうち主な事項の内容、問題点は――。

労災保険の「民間開放」

 労災保険を、すでに民営化されている自賠責保険と同様に民営化の検討を打ち出しました。災害リスクに応じた業種ごとの保険料率の設定や労災病院など労働福祉事業の見直しも求めています。
 一部委員は、労災保険の民間開放について「労災の安全網の改善などに貢献するとは考えられない」と反対しました。

 労災保険は、労働者が業務上の災害にあったさい、事業主の負担で療養をおこなったり、あるいは労働者か遺族に一定の金額が支給される制度。全事業主が労働保険料を支払い、事業主の集団責任で、労働者への補償を確実におこなおうというものです。そのため保険料を払わない事業主にたいしては国が強制徴収の権限も持っている「強制保険」となっています。

 それを営利優先の民間保険会社にまかせれば、保険料を支払わない事業所はもちろん、経営悪化で滞納しそうな事業所も加入させないという事態になりかねません。

 改革会議の議論では、災害が少ないサービス業の保険料負担が高すぎると論議されました。経営者にとっては、労災保険を民間にまかせることで保険料を安上がりにすることができます。民間保険会社は、広大な市場を手に入れ、損害調査や契約事務処理の経費も含め、大もうけできる仕組みです。

2003/12/23