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「民間開放」は事実上先送り/労災保険の扱いで結論出せず/総合規制改革会議が答申 【連合通信・隔日版】

 内閣府の総合規制改革会議(宮内義彦議長)が昨年十二月二十二日、「規制改革に関する第三次答申」を決定し、小泉総理に提出した。労働分野で焦点の一つになっていた労災保険の民間開放は、結論時期を明示しない「今後の課題」として扱われることになり、ゴーサインは出せなかった。労働界や日本医師会など広範な反対意見の反映だ。同会議に代わる「新たな規制改革推進機関」のもとで、四月以降改めて浮上する可能性も残っている。
 答申は、〇三年度末に閣議決定される規制改革推進基本計画で「最大限尊重」される。労災保険の民間開放が「今後の課題」に先送りされたことで、政府・厚生労働省が本格的な検討を開始する事態は回避された。

 労災保険の民間開放に対しては、連合や全労連など労働界をはじめ、全国社会保険労務士会連合会や日本医師会も反対した。厚生労働省の審議会(労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会)は日本経団連の代表を含む公労使委員が一致して反対していた。日本医師会の要望書(十二月十八日)は、労災保険の民営化について「労働者の権利を侵害し、事業主の利益を損なう」「各種補償体系の給付水準が著しく低下する恐れがある」とし、国民の健康を守る立場から「強く反対する」と表明した。

 第三次答申には、同会議の雇用・労働ワーキンググループの主査を務める清家篤・慶応大学教授も反対している事実が付記された。清家教授は「(労災保険の民間開放が)労働災害に関する安全網の改善や、事前規制緩和と事後チェック及び安全網の整備を一体として進めることに貢献するとは考えられない」との反対理由を明らかにしている。

2004/01/06