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三六協定が限度時間を超えていないか調べよう!

 私の会社では、毎月の残業時間が80時間を超えています。上司に、このままでは倒れてしまうと言っても、三六協定で認められているから、ついていけないなら辞めてもらうしかないと言われてしまいます。
 このようなことが法的に認められているのでしょうか。

◆残業の上限時間

 労働時間は、一日8時間が原則ですが、労基法36条により、残業に関する協定を会社と従業員の代表者が結んで労基署に届け出れば、残業を命じることができます。残業の上限時間については、平成10年に「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」が労働省(当時)から出されており(平成10年12月28日労働省告示第154号)、その時間数は、次頁の表のとおりです。
 残念ながら、この基準には法的拘束力がなく、限度時間を超える残業時間を定めても、労基署は受理していた模様であり、新技術・新商品の開発等に従事するものは、この基準の対象外にされています。
 しかし、過労死の新認定基準では、月間の残業時間が45時間を超える場合、残業時間が長くなればなるほど業務と過労死との関連性が徐々に強くなり、月間80時間を超えると、関連性が強いと判断されることとなりました。
 これを受けて、過労死を防止するため、三六協定により定める残業時間についても新たな通達「過重労働による健康障害防止のための総合対策」が厚生労働省から平成14年2月12日に出されました(基発第0212001号。巻末・参考資料③)。

◆通達の内容

 この通達によれば、三六協定の締結にあたって、残業時間が前記の一覧表の限度時間を超えないようにすることが事業者の義務として定められ、労基署も、限度時間を超える三六協定については、限度時間内に収めるよう、窓口において指導すべきこととなりました。
 また、実際の運用にあたっても、月間45時間を超えないような運用を会社に求めています。
 新認定基準は、月45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が高まるとしています。したがって、この限度時間を超えて残業を命じて発症したときは、会社の安全配慮義務違反の問題が生じます。
 本通達は、月45時間を超える時間外労働をさせた場合には、その労働者に関する労働時間や過去の検診結果などの情報を産業医に提供して、その助言指導を受けるものとしました。さらに月100時間を超える時間外労働をさせた場合または2カ月間ないし6カ月間の1カ月平均の時間外労働を80時間を超えて行わせた場合には、産業医への情報提供のみならず、当該労働者に産業医等の面接による保健指導を受けさせ、産業医が必要と認める場合にあっては健康診断を受診させ、その結果に基づき、産業医等の意見を聞き、必要な事後措置を行うものとされました。
 したがって、ご質問の事例でも、会社に対して、前記の通達を示して、三六協定の修正や、運用上での残業時間短縮を求め、会社が応じない場合、労基署に対して、前記通達に基づいて、会社を指導するよう求めることができます。

2011/10/01