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若い人にも過労死はある!

 長男は大学を出てコンピュータソフト制作の会社に就職しましたが、連日午前八時から深夜1時、2時までの仕事が続き、就職して1年後に、ベッドの中で亡くなっていました。23歳と若くても過労死として認められるのでしょうか。

◆世代・性別・職種を問わず増加する過労死

 過労死はかつては40歳代、50歳代の男性で、工場労働者や運転手、現場作業員などいわゆるブルーカラーの現場で問題とされてきました。しかし、最近では20歳代、30歳代の若者や女性の過労死も注目され、また職種(ホワイトカラー、ブルーカラー)や地位(管理職、営業職、パート・アルバイト)も多様化しているのが特徴です。
 これはバブル経済の崩壊後の不況下における薄利多売、必要なときに必要な分だけ迅速に製造し在庫をつくらない(ジャストインタイム、かんばん方式などといわれます)などの経営方針、職場のOA化の進行、都市と情報の24時間化などによって、ほとんどの分野で長時間・過密労働や不規則・交替制勤務が行われ、また合理化による少人数化、責任やノルマの増大の下で、多くの労働者が強いストレスにさらされながら仕事をしているからだと考えられます。
 したがって、ご質問のように23歳の若さで亡くなったとしても、量的・質的な過重業務によって脳・心臓疾患等が発症し死亡に至った場合は、当然過労死として労災認定されなければなりません。ただし、若い人が急死した場合は、中高年層が通常持っている高血圧、動脈硬化等のいわゆる成人病の基礎疾患とは異なる特異な基礎疾病の存在が疑われる場合が多々あります。したがって、申請にあたっては事前に十分な医学的調査を行う必要があるでしょう。

◆最近の事例

 若年の過労死等で業務上の認定がされた最近の事例としては、次のようなものがあります。
 ① 26歳証券マンの一時的心停止による死亡(平成7年9月29日大阪中央労基署長決定)
 ② 25歳フランス料理シェフの脳動静脈奇形による脳内出血(平成7年11月30日大阪労災保険審査官決定。Q54参照)
 ③ 26歳歯科技工士の解離性大動脈瘤破裂による死亡(平成8年1月8日大阪労働保険審査官決定)
 ④ 29歳住宅設計技師の急性心不全による死亡(平成8年2月7日堺労基署長決定)
 ⑤ 30歳生命保険営業所長の心筋梗塞による死亡(心筋梗塞の既往症あり)(平成9年6月27日兵庫労災保険審査官決定)
 ⑥ 23歳女性デザイナーくも膜下出血による死亡(平成14年5月14日天満労基署長決定)
 ⑦ 21歳雑誌編集アルバイトの虚血性心疾患による死亡(平成14年5月8日大阪労働保険審査官決定)
 (注 ⑦は当HP管理者が新たに追加したものです。)

2011/10/01