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過労死110番 プレシンポジウム『過労死促進法??〜労基法改正を考える』

過労死110番プレシンポジウム
『過労死促進法?? 〜労基法改正を考える』報告 

 平成29年11月15日に行われた上記シンポジウムには、労基法改正に関心を寄せる労働組合、過労死問題に取り組む弁護士、過労死・過労自殺のご遺族、報道を見て足を運んでこられた方など約30名が参加して、「働き方改革」法案の問題について講演・議論が行われました。
以下に簡単なご報告を致します。
                   開会挨拶 松丸 正 弁護士

1 基調講演 『「働き方改革」と労働時間・過労死問題』
  大阪市立大学名誉教授 西谷 敏 先生         

【講演もくじ】
Ⅰ 労基法改正案の内容
 1.旧改正案を継承した部分
 2.働き方改革によって新たに規定された部分
 3.その他(労働時間等設定改善法、労働安全
  衛生法等

Ⅱ 改正案の問題点
 1.必然的課題としての長時間労働の抑制
 2.過労死基準を基礎にした上限設定の意味
 (1)労働時間問題を過労死の視点のみから
   とらえる態度
 (2)過労死さえ防げない
 3.裁量労働制の拡大と、高度プロフェッショ
  ナル制度の導入

Ⅲ 改めて日本の労働時間問題を考える
 1.ヨーロッパにみる時間短縮のあゆみ
 (1)生命・健康の保護
 (2)労働者の自由時間の保障
 (3)家族的生活の保障
 (4)週35時間制へ
 2.日本はどの段階か?
 3.長時間労働を支えるもの
 (1)法的規制と労使協定
 (2)文化の問題
 4.今後の課題
 (1)法律的規制の強化
 (2)労働組合の強化
 (3)労働時間文化について国民的議論を!


 西谷先生からは、現在の労基法は問題が多く改正を要するものであること、他方で政府が進めようとしている労基法改正は、本来は人間の自由時間の確保を含めて検討すべき労働時間問題を「過労死」ラインといういわば最低限の観点から議論して労基法を改正しようとしているところに大きな問題があることなどを非常に分かりやすくお話しいただきました。
西谷先生の講演レジュメは、こちらから↓
  171115連絡会シンポ 西谷敏先生講演レジュメ

2 労働時間の適正把握がなされなかったために発生した過労自死事件報告
  報告者:弁護士 立野嘉英、ご遺族

 会社が遺族に交付した“公式”な労働時間は、発病前6か月間の時間外労働時間が20時間30分から最長85時間30分程度と過労死ラインに満たないものであるところ、被災者本人のその他の記録により実際は約131時間30分から170時間程度であったことが判明した事案。適切な労働時間管理がなされなかったために過労死が生じること、被災者やその家族に大きな悲劇をもたらしたことについて報告がなされました。

3 働き方改革改革法案は働かせ方改悪法案
  報告者 大阪過労死問題連絡会 会長 森岡孝二関西大学名誉教授

 現在、政府が進めている働き方改革法案は、残業の上限規制として過労死の労災認定基準における残業時間を上限時間に設定しています。このことなどから、今後、法案が法律として成立してしまうと過労死の労災認定や企業保障が困難になること、労働時間の間接規制としての残業支払い義務も緩和される恐れが高く、反対世論を盛り上げる必要があることについて報告がなされました。

 

4 関西大学高槻ミューズキャンパスにおける過労の問題
  当事者の教職員の方からのご報告

 学校という教育の現場で労基法違反行為、そして是正を求めた教職員への不当な処分が強行されているとの報告がなされました。
 関西地方の名門校である学校法人関西大学の初等部、中等部、高等部の教職員について、所定終業時刻が高等部では授業中になるなど、不備のある就業規則が制定されたことを契機とした問題です。
 同法人は、その後、教職員の出退勤時刻を適切に把握していない、適切な時間外手当を支払っていなかったなどとして、茨木労働基準監督署から是正勧告を受け、現在は不払いとなっていた時間外勤務手当の支払いについて団体交渉が継続中とのことです。同法人では初中高の15%を超える教員が過労死ラインを超えて働いていることが分かったものの、現在でも労働時間の把握方法に不備があるという報告でした。また、この問題の中心となっていた教諭に自宅待機命令が出されるなど、問題が継続しているということです。

【討議】
 これらの講演・報告を踏まえ、会場からは労働時間に関する意識改革の問題、労働組合のあり方について意見が出されるなどしました。
 労基法をよい方向へ改正する必要があること、政府が進める労基法改正では過労死を防ぐことができないどころか、過労死を促進することになりかねないことを再確認するシンポジウムとなりました。

【過労死・過労自殺110番のご案内】
 大阪過労死問題連絡会では、連絡会所属の弁護士による無料電話相談会を実施致します。仕事での過労問題、ハラスメントの問題、労災申請や使用者への損害賠償請求等でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 ◆日時:平成29年11月18日(土)10:00〜15:00
 ◆電話番号:06−6364−7272

(事前のお問い合わせ先)
連絡会事務局 あべの総合法律事務所 06−6636−9361
弁護士 上出 恭子・和田 香

 

2017/11/17