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総合規制改革:8項目で「ゼロ回答」 最終答申提出 【毎日新聞】

政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は22日、同会議の最終答申となる第3次答申を小泉純一郎首相に提出した。労働者災害補償保険 (労災保険)の民営化などを提言する一方、今年2月に各省庁に重点検討を求めた12項目のうち8項目について実質的な「ゼロ回答」とみなす現状評価も盛り 込んだ。小泉首相が「官から民へ」の構造改革の柱に掲げた規制改革だが、省庁による壁の厚さを印象付ける結果となった。

答申は省庁と合意した部分がある項目に(1)医薬品の一般小売店における販売(2)幼稚園・保育所の一元化(3)高層住宅に関する容積率の緩和(4)職 業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進――の4項目を挙げた。医薬品販売については副作用の恐れが小さいと判断された約350種類が「医薬部 外品」としてコンビニエンスストアなどで販売できることになった点を評価し、引き続き「抜本的かつ早急」な見直しを求めた。

株式会社による病院経営や農地取得、NPO(非営利組織)への学校経営委託など8項目は省庁側の抵抗で合意できなかった。答申は「一部に一定の前進が見 られるものの、大きな進展は図られていない」と総括。宮内議長は記者会見で「今後の課題として残った」と不満を示した。

このほか、答申は公共施設や労災保険などの民間開放促進など5項目を重点検討に正式追加した。会議の設置期間が来年3月で終わるため、来年度以降も新た な規制改革推進機関の設置を提言した。政府は26日、答申を最大限尊重することを閣議決定する予定。【平元英治】

総合規制改革会議の第3次答申の要旨は次の通り。

■前進があった4項目
(1)医薬品の一般小売店における販売=約350品目を医薬部外品として販売(04年早期に措置)
(2)幼稚園・保育所の一元化=就学前の教育・保育を一体としてとらえた総合施設設置(05年度中に措置)
(3)高層住宅に関する抜本的な容積率の緩和=用途別容積型地区計画などの弾力運用(03年中に措置)▽容積率制限に関するインフラ負荷などの分析(04年度検討開始)
(4)職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進=年収要件を1200万円超から700万円程度へ引き下げるなど対象者・職種を拡大(03年末までに措置)

■「ゼロ回答」8項目
(1)株式会社などによる医療機関経営の解禁
(2)「混合診療」の解禁
(3)労働者派遣業務の医療分野への対象拡大
(4)株式会社、NPOなどによる学校経営の解禁
(5)大学・学部・学科の設置などの自由化
(6)株式会社などによる農地取得の解禁
(7)株式会社などによる特別養護老人ホーム経営の解禁
(8)株式会社などによる農業経営の解禁

■追加された5項目
(1)公共施設・サービスの民間開放促進
(2)労災保険及び雇用保険事業の民間開放促進
(3)国際的な高度人材の移入促進=日本版「グリーンカード」の創設など
(4)自動車検査制度の抜本的見直し
(5)借家制度の抜本的見直し
[毎日新聞12月22日] ( 2003-12-22-22:16 )

2003/12/23