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西原事件に対する労基署の再調査開始にあたっての「声明」 西原事件弁護団・西原事件支援の会(2001年12月14日)

西原事件弁護団・西原事件支援の会

        声   明

 西原過労死事件は、名糖運輸株式会社(本社・東京都)の大阪営業所堺出張所でトラック配送運転手として働いていた故西原道保さん(死亡当時46歳)が、少なくとも4年以上にわたる著しい長時間過密労働に従事した末、平成3年2月23日早朝、待機中のトラックの運転席で急性心筋梗塞を発症して死亡した事件である。
 平成10年4月13日、堺労働基準監督署長を被告とする行政訴訟及び名糖運輸株式会社を被告とする民事訴訟の2つを同時に提訴し、いずれも一審で勝訴したが、労基署長及び名糖運輸が控訴し、現在、大阪高等裁判所で審理が行われている。
 去る11月15日、長期の蓄積疲労を判断要件として取り入れるべきであるとする厚生労働省の専門家検討会の報告書が発表され、今月12日これを受けた新認定基準が通達されたが、本日堺労働基準監督署の労災課長が原告西原松子宅を訪問し「認定基準が改訂されたことを受けて、本件につき改めて調査を開始することにした」旨の連絡を受けた。我々としては、西原さんの労働は、新認定基準の「発症前6ヶ月間に、月80時間以上の時間外労働をしていること」の要件を優に満たしており、近日中に西原さんに対して業務上の認定がなされることを確信するものである。
 業務上の認定がなされた場合、故道保さんの死亡から10年以上が経過し、あまりに遅きに失した救済ではあるが、新認定基準の通達を受け、堺労働基準監督署長自らが業務上の認定を行うことに対し、積極的に評価するものである。
 そして、このような再調査、再認定が現在全国各地に係属している同種の行政訴訟並びに労働基準監督署や労災保険審査官、労働保険審査会に係属中の同種事件においてもなされることを心から期待する。
 最後に、10年にわたる西原松子さんの闘いを支援していただいた全ての関係者の皆さまに、厚く御礼申し上げるとともに、正式な業務上認定、更には民事訴訟の勝利まで、引き続きご支援をお願いする次第である。

  2001年12月14日
                    西原過労死裁判弁護団
                     名糖運輸・西原道保さんの「過労死認定」を勝ちとる会

2001/12/14