過労死問題について知る

HOME > 過労死問題について知る > 勝利事例・取り組み等の紹介 > サービス残業はどんどん申告を! 大阪過労死問題連絡会が労基局と交渉 弁護士 脇山...

サービス残業はどんどん申告を! 大阪過労死問題連絡会が労基局と交渉 弁護士 脇山 拓(民主法律時報262号・1993年2月)

弁護士 脇山 拓

 大阪過労死問題連絡会では、昨年11月に実施した「サービス残業110番」の結果を報告し、サービス残業問題への取り組みを聞くため、大阪労働基準局との懇談会をこの2月3日に開催しました。
 当日は、大阪労働基準局からは監督課の監察監督官ら5名、大阪過労死問題連絡会からは事務局長の松丸弁護士ら6名が参加しました。

 まず、連絡会よりサービス残業110番に取り組むこととした経緯と現実に110番に寄せられたサービス残業の実態を報告し、労基局としてもぜひサービス残業の相談窓口を設けて、取り組みを強化していってほしいとの要望を出しました。
 これに対して、労基局からは、サービス残業問題は各労基署で常時申告を受け付ける体制となっていること、労基局の監督官の方でもこの問題を重点において定期監督を行っているとの説明がなされました。
 なかなか労基署には申告し難いのではないかという質問に対しては、申告自体は第三者による申告でもいいし、匿名であっても受け付けてそれに対して調査をしているという回答がなされました。また、調査結果についても問い合わせがあれば一定の回答は行うとのことです。
 実際の調査は、なかなか困難を極めるそうですが、経験を蓄積して、違反摘発の件数は増えてきているそうです。
 しかし、何と言っても致命的なのは人的体制が不足していることで、事業所の定期監査で巡回できる監督官は大阪で90名はどしかいないのだそうです。この人員で、あらゆる面からの事業場の巡回をこなさねばならないため、とてもではないがサービス残業を徹底的に成り締まると言うことにはならないそうです。

 長時間労働の温床となるとして批判の強い36協定については、現在労基署では目安時間による指導を徹底させているとのことでした。
 また、大証労組の田中さんから証券業界のサービス残業についての実態を報告してもらい、銀行でやったような調査をぜひ取り組んでもらいたいと要望しました。
 亀井事件がマスコミに大きく取り上げられ、労基局にも取材があったためか、みなさんこの問題には関心を持っておられるようで、具体的な事実を含めて正式に労基署に申告してほしいと積極的な反応が返ってきました。
 最後に、今後もこのような場を持って、互いに情報を交換して相互理解を深め、労働条件の向上に向けて努力して行くことを確認して1時間半余りの懇談を終了しました。

 この墾談会の結果を踏まえて、大阪過労死問題連絡会でほ、サービス残業110番の結果を労基署に申告していく予定にしています。
 ぜひ皆さんも職場のサービス残業を気軽に申告して、違法なただ働きを根絶させて行きましょう。
(民主法律時報262号・1993年2月)

1993/02/01