大阪過労死問題連絡会とは


会長挨拶

大阪過労死問題連絡会 会長
森岡 孝二 関西大学教授

大阪過労死問題連絡会 会長森岡 孝二 関西大学教授

 1981年の発足以来、大阪過労死問題連絡会の会長を務められてきた田尻俊一郎先生が昨年9月4日に81歳でお亡くなりになりました。その後を承けて、今年3月26日に開かれた本会の総会で新しい会長に選出された森岡です。田尻先生は、産業医学の臨床医として数々の過労死事件の意見書を書かれて、労災認定に寄与されてきました。先生に比べれば非力な私ですが、労働時間を中心に過労死について研究してきた立場から、過重労働やサービス残業をなくしていく運動に助力したいと思いますので、よろしくお願いします。

本会は1981年に結成された日本でもっとも伝統ある過労死問題の連絡・相談センターです。「過労死」という言葉が社会的に認知されたのは1988年に開設された「過労死110番」からですが、それも始まりは大阪です。
過労死110番のスタートから20年以上が経過しました。この間、労働基準監督署の労災認定でも、過労死裁判でも、いくつもの前進がありました。最近では厚生労働省のサービス残業の解消に向けての取り組みも、以前に比べるとまだしも強化されてきました。にもかかわらず、過労死はいっこうに減っていません。それどころか若者に広がる過労自殺を含めると増えてさえいます。
近年では働きすぎは日本だけでなく世界に広がっています。その背景には、生産と資本の世界化ともいうべきグローバリゼーションがあります。労働時間が長く賃金が低い途上国や新興国の労働者と競争せられて、先進国の労働者の労働条件も悪化しています。インターネット、パソコン、携帯、Eメールなどの新しい情報通信技術も、仕事のスピードを速め、仕事の量を増やし、家庭も職場に変えて、働きすぎを強める一因になっています。また、近年における正社員の絞り込みも、派遣労働に代表される雇用の規制緩和や非正規化も、過労死を多発させる背景になっています。
過労死を死語にしたいというのは、私たちの共通の願いです。しかし、それが実現するにはまだまだ長い年月がかかりそうです。その日が来るまで本会の活動を止めるわけにはいきません。本会はこれからも過労死の労災認定を支援し、過重労働とその犠牲者をなくすために、先頭に立って活動していきますので、なにとぞよろしくご支援ください。

2010年7月24日